眼疾患と症状 「こんな症状はありませんか?」

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第8回:ストレスが原因となる眼疾患:その2 緑内障も?

投稿日:2013年6月4日(火)

今回は一般的にストレスが原因となり得る眼疾患について解説させて頂きます。

現代はストレス社会です。人間には自律神経と呼ばれる神経があります。自律神経とは?簡単に言いますと「自分の意思とは関係なく外的な刺激や情報に反応し、体の機能をコントロールしている神経」の事をいいます。自律神経には主に興奮に関与する「交感神経」と、それを抑制する「副交感神経」の2つがあります。この相反する2つの神経が天秤の様にバランスよく働いている事により、心や体の健康を維持してくれていますが、ストレスが原因で交感神経が働き過ぎる状態になり自律神経のバランスが崩れ、健康を維持できなくなる事があります。

★眼に関係する自律神経の主な働き★

1)交感神経の働きが活発になると

①瞳孔が大きくなる ②涙の量が少なくなる(涙腺) ③血管が収縮する(細くなる)

④血圧が高くなる

2)副交感神経の働きが活発になると

①瞳孔が小さくなる ②涙の量が増える(涙腺) ③血管が拡張する(広がる)

④血圧が低くなる

という具合に両神経のバランス状態によって相反する反応が出てきます。両者は天秤の様になっており、その天秤がどちらかに傾く事によって、いろいろな体の異常が出てくることになります。

病気ではないにしても、特に若い子が「あ、あそこに綺麗な異性がいる」とドキっとしただけでも、興奮作用の交感神経が有意となり瞳孔が大きくなります。また嘘を付いた際にも心の動揺が興奮を招き、瞳孔が大きくなります。自律神経とはこの様な些細な事に関与していますが、長期に渡りバランスが崩れる事によって眼だけでなく全身的にも様々な病気を引き起こす事があります。

★自律神経のバランスが崩れるストレスの原因(抜粋)★

1)       長時間の通勤

2)       人間関係(職場・自宅)

3)       仕事のノルマ達成に対するプレッシャー

4)       不規則な食生活・睡眠不足

5)       心配性(忘れ物、火の消し忘れ、鍵をかけて来たか等の気にし過ぎ。その他、不安神経症等)

6)       テレビ・ゲーム・携帯電話・パソコン等の見過ぎ

これらがストレスの原因となり、その結果、交感神経が働き過ぎるようになります。

その結果、心体の恒常性が保てなくなる事により体調に様々な変化を引き起こしたり、

種々の病気の発症に一因となってしまいます。

交感神経が働き過ぎる事だけが問題なのではなく、ストレスが多い為に交感神経ばかりが働いて、それを修復する副交感神経が充分に働けない事が問題と言われています。

それではストレス等で自律神経のバランスが崩れる事により惹起されやすい眼科疾患について簡単に説明させて頂きます。

1)ドライアイ

涙を分泌する「涙腺」は副交感神経が支配している為、ストレスで交感神経が働き過ぎ、副交感神経の働きが追いつけないと涙の量は減少し眼は乾燥気味になってしまいます。眼がショボショボしたり、長時間モノを見ていると霞み、視力低下の原因にもなります。重症だと異物感が強くなり、眼が開いてられなくなる場合もあります。最近、新しい優秀な点眼剤の開発もあり、かなり有効な治療効果を得ている現状です。

2)緑内障:特に正常眼圧緑内障

最近は緑内障の患者様が急増していると言われておりますが、従来の「眼圧が高い」「視神経乳頭の陥凹が深い」「緑内障特有の視野欠損がある」という典型的な緑内障、いわゆる「原発性開放隅角緑内障」というタイプより、眼圧は正常である「正常眼圧緑内障」が増加傾向にあり、疫学調査でも特に日本人には正常眼圧緑内障が多いという報告もあります。この疾患もストレスによる視神経に対する慢性的虚血、つまり「血の循環が悪く充分な栄養が視神経に供給されない為、正常眼圧にも視神経が耐えられず細胞障害が起きる事によって視野が徐々に欠損していく」事がその病態ともいわれております。

この様に昨今は「緑内障の原因として、ストレスも1つの要因である!」と言われています。

よく、人間ドックや会社の検診で「自分は毎年、眼圧検査をしているので、緑内障は大丈夫」と言われる患者様が多いのですが、眼科医の立場から言わせて頂ければ、「検診では眼圧を測る事より、眼底写真で視神経を評価する方が望ましい」と心から思います。

正常眼底

▲正常眼底

視神経乳頭の深い陥凹の末期の眼底写真

▲緑内障眼:視神経乳頭の深い陥凹(白い部分)が著明で、視神経乳頭の全体的な蒼白、萎縮が認められる

 

正常眼圧緑内障の治療は眼圧下降作用のある点眼薬を用いますが、眼の循環改善作用の成分を含む点眼薬を第1選択薬としています。また患者様から「パソコンの見過ぎは大丈夫か」等の質問を受けますが、仕事上必要な事は目に見えていますので、「過度にならなければ、またストレスにならない程度に」とお答えしております。「パソコンはストレスにより緑内障の悪化が危惧されるので絶対に観ないで下さい」と言っても現実には無理な事です。個人個人の環境にもよりますが、適度にパソコン業務を行う事には問題は無いと考えます。

私自身が緑内障であっても仕事でパソコンは使うでしょうし、楽しみでパソコンを観る事もあるでしょう。それがストレスの発散のための気分転換に繋がるのであれば問題は無いと考えます。人間は私生活に制限が出れば出るほど、それがまたまた「ストレスになる」と考えますので、自分はその様に患者様にお話しさせて頂いております。

話が長くなりますので省略しますが、眼圧が高いタイプの緑内障の方の眼圧にも当然、自律神経は関与しています。今回は主に正常眼圧緑内障を中心に記載させて頂きました。

3)中心性網膜炎

働き盛りの男性の片眼に発症する網膜の中心部である黄班部に浮腫(むくみ)を起こす疾患。

原因は明確ではありませんが、「ストレス説」が最有力である疾患で、正式には中心性漿液性網膜炎と呼ばれ、「モノが歪んで見える」「中心部が何となく暗い」との訴えで受診される事が多い疾患です。中心に浮腫があるものの比較的矯正視力は保たれている事が特徴です。

一般的には自然治癒もあり予後は良いのですが、再発が多い傾向にあり、再発例では矯正視力の低下が認められる事もあります。治療はビタミン剤や浮腫の軽減の為の漢方薬の内服処方等で様子を診ますが、長引く場合はレーザー治療が必要になります。経過によっては類似した他の黄班疾患との鑑別も重要となります。また黄班変性症との関連も示唆されておりますので、良くなった様でも、その後の視力の経過・眼底変化等の定期的検査が重要となります。

4)高血圧性網膜症

ストレスにより血管が細くなると血圧も高くなりやすくなります。元々、高血圧症の方はストレスにより血圧が一過性に更に上昇する事で、網膜の血管が破けて眼底に出血したり、血管が詰まる可能性も高くなります。また循環が悪くなる事で網膜の神経が腫れ白斑等も出現します。

高血圧症だけではなく糖尿病の方も類似した病態であり、糖尿病性網膜症として発症します。

5)虚血性眼疾患(きょけつせい眼疾患):難しい名前ですが、血流障害による眼の病気の総称です。

簡単に言いますと「眼の心筋梗塞」「眼の脳梗塞」の様なものです。

最近は若い方にも急性心筋梗塞・脳梗塞等が発症する事について、テレビ報道等で皆様もご存知かと思います。これらは総称して「虚血性疾患」と呼ばれます。眼科でも若い方の眼虚血性疾患が急増しています。勿論、高脂血症、糖尿病、本態性高血圧等が原因である事が多いのは当然の事ですが、これらにストレスが加わり、自律神経のバランスが崩れた結果、血管が収縮(=細くなる事)を引き起こす事によって、これらを発症するリスクが高くなる事が考えられます。

実際の虚血性眼疾患には下記のようなものがあります

網膜静脈閉塞症 (血栓症)

網膜の静脈が血栓などで詰まってしまい、血液が眼から心臓に戻る事が出来ず、網膜血管が詰まったホースの状態になった結果、破裂し出血します。網膜の中心部である黄班部に出血が及ぶと「モノが歪んで見える」「中心付近が暗い」等の症状を引き起こします。種々の有効な治療法があります。

静脈閉塞症眼底写真

▲網膜(分枝)静脈閉塞症:静脈が詰って破裂した為、黄斑部の上方に網膜出血を認める

 

網膜動脈閉塞症(血栓症)

網膜の動脈が血栓等で詰まり、網膜に栄養がいかず、短時間で網膜は蒼白となり、「突然、真っ暗になった」と訴えて来院される方が多い疾患です。速やかな治療によっても回復が難しいのが現状であるシビアな病気です。通常は80歳以上のご高齢の方に多い疾患と言われていましたが、最近では30歳台に発症を診る事もあります。当院でも年間、数例の患者様が来られます。

動脈閉塞症眼底写真

▲網膜(分枝)動脈閉塞症:動脈が詰まり血流が途絶した領域(黄班部上部)が蒼白になっている。また一部に出血も認められる。

 

③虚血性視神経症:

視神経に栄養を与えている血管が血栓等で詰まる疾患です。

「突然、中心部が暗くなった」「突然、上半分が暗くなった」等の症状が出ます。

前部虚血性視神経症

▲前部虚血性視神経症:視神経が虚血により腫れてしまい、本来は、ほぼ球形であるはずの視神経の境界が不鮮明になっている(急性期)

 

④ 一過性虚血性眼疾患

一時的に血管が詰まり、上記の①~③の症状が出ますが数分で回復し、外来に来られた時は症状も無く、眼科的所見も有意なものも認められません。本当に詰まってしまう前兆である事も考えられ、再発に要注意です。脳神経外科的に表現しますと「一過性脳虚血発作」と呼ばれ、いわゆる脳梗塞の予備軍的疾患です。

 

またまた今回も長くなってしまいましたが、かく言う私も原稿を夜中に書いておりますと、パソコンの見過ぎの為か、眼が爛々とし、やや興奮状態になり寝つきが悪くなります。結果、睡眠不足ともなり自律神経のバランスも、やや崩れているようです(^_^;)。診療には影響の出ない様に日々の体調管理にも気を配って参りたいと思います。

ストレス社会ですが、やはり大事なのは「気合!」だと思っています。私もストレスは絶えませんが、皆様も私以上にストレスが多いかと思います。共に頑張って自分の意思ではコントロールできない自律神経をコントロールできる程の「気合」でストレス病を打破出来る様に頑張って行きましょう。

今回掲載した内容や、その他でも眼の事でご不安な事があればお気軽にお尋ねください。

学校検診も終わりました。今年は、全ての学校で生徒の皆さんに上手に検診を受けて頂き、とてもスムーズに検診を終える事が出来ました。学校関係者の方々、保護者様、そして何よりも上手に検診を受けてくれた生徒の皆さんに心より感謝いたします。

文責:藤田

 

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眼科
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