※学校保健委員会:眼科分野のご質問への回答(近視・姿勢・栄養・花粉症 対策などに関して)※

前回、学校医を担当させて頂いている学校の保健委員会にて「小中学生のコンタクトレンズの使用について」の質問を頂きましたので回答を掲載いたしました。

他の小中学校からも何点か眼に関する質問がありました。今回は主に「視力低下」や「読書時の姿勢に関して」、また季節的に「花粉症に関しての対症療法」などの質問を頂きましたので回答させて頂きました。少しでも皆様のお役に立つことが出来ればと考え、今回も掲載させて頂きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

御質問1】
中学2年生「中学に入学し急激に視力が低下しました。視力回復に繋がる食品・体操等があれば教えて下さい。」

 

【回答】
Ⅰ:食品・食事に関して:視力回復に繋がる食品はビタミンA・C・E・B 群(B1、B12)や青魚(EPA・DHA)といわれておりますが、現代では充分な栄養は摂れると環境だと思われます。問題は、時間的な事や精神的な事だと考えます。現代では習い事が多かったりすることにより生活が不規則になりがちです。

実際には難しいとは思いますが、栄養的にバランスの取れた食事を定時に1 日3 食摂る事が重要だと思います。

ダイエット等は成長期には(内科的に食事療法を指摘されていない限り)極力避けた方が良いと考えます。

Ⅱ:眼のストレッチの方法に関しては / 参天製薬(下記:URL)を参照ください。

https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/eyecare/stretch/

 

御質問2】中学2年生「小学校高学年から花粉症と診断されました。薬を飲むと眠くなるので、出来るだけ薬をのまずに対処したいと思っています。効果的な対処法や、粘膜を強くする食べ物などがあれば教えて下さい」

 

 

 

 

 

 

 

【回答】
Ⅰ:クスリを使用しない対症療法としては「とにかく原因物質の暴露を避ける」事です。原因物質が花粉と限定されているのであれば、花粉情報に留意し、少しでも飛散が始まる可能性があればマスクを着用し、帰宅時に玄関先にて衣服を払う(上着を部屋に持ち込まない)、洗顔、鼻をかむ、洗髪を励行すること等が重要になります。
ご家族の協力も必須になります。

眼の周りが荒れ易い場合には、髪の毛に付着している花粉が原因になりえるので、花粉症の時期には前髪を上げる事等も対症療法になります。

また枕カバーに付着している花粉が原因になる事が多いと言われていますので、枕カバーの洗濯は大事になります。
布団に付着している花粉を取り除くために掃除機を使用して、花粉を吸い取る様に行って下さい。

【回答】
Ⅱ:食事に関してですが、発酵食品が良いと言われています。具体的には味噌、麹、ヨーグルト、漬物、納豆、チョコレートなどです。またビタミン類(青汁など)、DHA・EPA(青魚など)、αリノレン酸(油など)も予防食材として挙げられています。
食事に関しては前述のバランスの良い食事を規則正しく摂取する事も重要になると思います。

栄養の吸収を良くするために胃腸を丈夫にする事も大事と考えます。

どうしても、対症療法を心がけても症状が強くなる場合には、花粉をブロックする薬剤の早期投与が必要と考えます。発症してからでは遅い事もあります。眠くなり難い花粉症薬もありますので、かかりつけ医と相談する事をお奨め致します。

 

御質問3】小学1年生「前から姿勢の悪さを注意していても、机で長時間読書をすると猫背になって来る」

 

【回答】
机に向かっている際に猫背になる(モノを近くで観ている)原因として「近視」になっている可能性があります。以前と比べ(片眼ずつ隠して見て)視力が悪くなっていないかをお子様に聞いてみて下さい。

部屋全体の照度が暗い事が原因で、本などが見え難くなり猫背になっている可能性もあります。
また机上の教科書やノートを照らす照明器具の照度が低い中で勉強する事により一時的に近視化して、前かがみに本などを近くで観ようとしている可能性もあります。

部屋や机上の照度も確認してみましょう。

この様な姿勢の悪さが続くと、本当の意味で「近視の進行」を起こしてしまいます。
また近い距離でスマホなどを長時間観る事も近視化の原因になります。
適切な距離(読書は33Cm、パソコン類などを見る際には50Cm は離れて)で観る様にしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

姿勢に関与する原因として、机・椅子の高さや角度が適切か否かも考える必要があります。場合によっては椅子の補助器具なども必要にあると考えます。

※「姿勢が悪い」という事の原因として、眼科的な事だけが原因では無く、整形外科的疾患(腰椎、頸椎、側弯症など)の可能性もあります。こちらに関しても注意が必要です。

視力低下の自覚があれば学校健診を待たずに、早期の眼科受診をお奨め致します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

御質問4】小学2年生「夜、部屋を暗くすると眠れないと部屋の電気を付けたまま寝ます。
夜中に何度もトイレとか、喉が渇いたと言って何度も起きます。睡眠が充分に眠れていないか心配です。
部屋を明るくしたり、何度か起きてしまう場合に成長ホルモンの分泌などに影響はあるのでしょうか?
また、どの様にしたら深い睡眠がとれるのでしょうか?

 

【回答】
実際は難しいと思われますが、眼科的な対処として必要と思われる事を記載致します。

寝る前の準備として

Ⅰ:就眠3時間前からは部屋の照度を徐々に下げていく事。テレビ・パソコン・スマホ等は観ない様にする。

Ⅱ:就眠前には寝室の天井の直接的な照明の使用は避け、床やベッドの下に小さな照明(電気式キャンドルなど)を置く事により、お子様の目に直接、照明が入らない事により光による興奮を抑え、また暗いという不安感も軽減され深い眠りが得られるとも言われています。

成長ホルモン深い眠りに入ってからの3時間に集中して分泌量が多い傾向にあると言われていますので、安眠が出来るような声掛けや環境作りが必要と思われます。
「早く寝なさい!」等の、お子様を精神的に刺激するような言葉は避ける様な配慮も重要と考えます。また睡眠前は適度な水分の摂取に留め、刺激性のある飲み物や、水分の過剰摂取は控えた方が良いかと考えます。入眠後の排尿の抑制になると思います。

また口渇・多飲・多尿は病気による症状である場合もあります。

若年性糖尿病の初期症状である可能性もあります。また尿崩症などの場合も症状を訴えます。
多飲、多尿が続く際には小児科受診をお奨めいたします。

 

御質問5】中学2年女子「気候の変化(気圧の変化、雨の降る前など)によってなのか、めまい・ふらつき・頭痛・吐き気などが出る事があります。対処法を教えて下さい。

 

【回答】
まず、早急に器質的疾患の有無を調べる必要があると思います。
内科的疾患(貧血の有無、低血圧、胃潰瘍など)、頭蓋内疾患(小脳疾患、脳幹部疾患等)、耳鼻科的疾患(良性発作性頭位性めまい、メニエール病など)等に関してかかりつけ医の先生と相談が必要と思います。

器質的疾患が無ければ精神的な事が原因になる事も考えられますが、まずは病気が隠れていないを調べる事が必要になると考えます。

※特に朝の頭痛・吐き気は要注意です! 緊急性がある場合があります※

最後に、専門外ですが、下記の様な質問もありました。自身の経験談で回答してみました。

 

御質問6】小学4年生「ヘッドフォンをしながら高音で友人と通信しながらゲームなどをしています。難聴が心配です。親が難聴に早く気が付けるためのアドバイスをお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【回答】
専門外ですが、一言だけ意見を述べさせて頂きます。
長時間・長期間ヘッドフォン等で高音を聞いている事により、内耳神経が徐々に障害され、将来的に「音響外傷」と言われる取り返しのつかない難聴になる可能性が高くなります。
極力、高音でのヘッドフォンは避け、コンサート等の大音響のする場所に行かれる際もお子様には耳栓をする事をお薦めいたします。
お子様に難聴が無いか否かの確認は、片耳が聞こえていれば、もう一方の耳の難聴の発見は難しいと思います。
まずは「耳鳴りがしないか否か」を聞く事は重要だと思います。
また片耳をふさいで電話の受話器を片耳ずつ耳に押し付ける様にして音を聞いてみて、聞こえ方に左右差が無いかを確認する事も一つの方法ではないでしょうか。自分はそれを実践しています。

音響外傷は神経の損傷です!

治療にはステロイドの内服や点滴が必要になる場合もあります。
治療効果は30 歳を超えると急激に下がる傾向にあり、回復しない場合もあります。
怖い音響外傷にならない為にも、子供の頃より大きな音を長時間聞かない様に注意しましょう。

皆様が健康で新年度を迎えられるようにスタッフ一同、祈っております。

 

平成31年3月14日 みなみ野眼科クリニック

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※「みなみ野眼科の医療コラム」に「小中学生のコンタクトレンズの使用について」を掲載しました」※

詳しくはこちらをご覧ください。

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小中学生のコンタクトレンズの使用について

新学期も近いためか、この度、学校医を担当させて頂いている小学校から「小中学生の
コンタクトレンズ使用」に関する質問を頂きました。

Q:小中学生にコンタクトレンズは良くないのでしょうか?

Q:小中学生はコンタクトレンズの使用は可能でしょうか?・・・等

外来でも、よく質問される事項ですので回答を作成しました。
私見も含まれますが、近視のお子様のいる方々のお役に立てればと思います。

文書では、なかなか回答が難しい面もありますが下記に掲載させて頂きます。

【回答内容】

小学生にコンタクトレンズは「良くない」とは一概に言い切る事は出来ませんが、
一般的に、その様に言われている事の理由としては:

  1. 年齢的にコンタクトレンズの脱着が1 人で出来るか否か
  2. コンタクトレンズのケア(装着時間の厳守、清潔管理等)が1 人で出来るか否か
  3. ファッション感覚で使っていないか否か
  4. コンタクトレンズが医療器具である事を理解しているか否か

上記4点に関しては児童個人の理解、性格の問題もあると思います。また御家族の
ご協力も必要になると考えます。

 

医学的に問題な事は:

  1. 長期、長時間使用で角膜(黒目)の細胞が減る可能性が高くなる。
    角膜の細胞が減る事により、将来的に眼科的手術が必要な疾患に罹患した際に
    角膜障害を起こしやすくなる(角膜内皮障害による水泡性角膜症など)
  2. アレルギー性結膜炎やドライアイ等の合併症を引き起こしやすい。
  3. 手洗いが不充分でコンタクトレンズの脱着をすると学校保健法に指定されている目の感染症に罹患する確率が高くなる。
    該当疾患:流行性角結膜炎、咽頭結膜熱(プール熱)
  4. 誤装用や、衛生管理が出来ない事により角膜潰瘍などの眼疾患になりやすい
    例)(1)細菌性角膜潰瘍、(2)真菌性角膜潰瘍、(3)アカントアメーバによる角膜炎等
    これらに感染し重篤化すると、永続的に角膜の白濁が残り、視力障害の原因に
    なりえる。場合によっては角膜移植などが必要になる場合もある。

上記などが考えられます。然しながら、この点は小児に関してだけでは無く、大人にも
言える事です。

 

※逆にコンタクトレンズが必要な場合もあります。

  1. クラブ活動などの運動で眼鏡では危険がある場合。
  2. 視力の左右差が激しくて眼鏡では眼が疲れる場合(不同視)。
  3. 乱視が強く、眼鏡では矯正視力が充分に得られない場合。
  4. 逆さまつげから角膜を守る為に医療用にコンタクトレンズを使用し、逆さまつ毛
    による角膜炎防止の為にコンタクトレンズを装用する場合もある。
  5. 円錐角膜の治療として進行予防にハードコンタクトレンズの使用が必須となる。

一概に「コンタクトレンズは良くない」とは言えませんが、コンタクトレンズ作成の際
の最大の条件は「万が一の際に、生活に支障の出ない眼鏡は持っている」事だと思います。

誤装用で角膜炎、角膜潰瘍などを起こして来院される方々に治療の為に「コンタクトは
中止する様に」とお伝えたした際に「眼鏡を持っていない」と答える方が多いからです。異物感を感じた際に見えないからと言って、無理をしてコンタクトレンズを装用する事が、眼疾患を重症化させる要因になるからです。

児童の方でも、上記理由でコンタクトレンズが生活上必要であると判断した場合や、眼科的治療としてコンタクトレンズが必要と判断した場合には当院でも処方をしています。
然しながら、シッカリと脱着練習を受けて頂き、自身一人で脱着が可能な場合に限ります。
また薬剤同様に用法・用量(この場合はコンタクトレンズのケア、及び決められた装着
時間の厳守等でしょうか)を守って頂ける事が重要となると思います。

以上簡単ですが小中学生のコンタクトレンズの可否に付き回答をさせて頂きました。

 

 

 

みなみ野眼科クリニック 平成31 年2 月21 日

 

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院内勉強会

当院では平成30年7月11日にOCTアンギオグラフィーを導入しました。

  

当院の職員も居残りでインストラクターの方々と勉強中です。

OCTアンギオグラフィーに関しての情報は、当院の「眼科設備」か「当院で可能な特殊治療・検査」の「B:検査」のOCTの項目を是非、ご覧ください。

早速実践です!

OCTアンギオグラフィーに関してご質問のあります方は、医師・検査スタッフにお気軽にご質問ください。

平成30年7月16日 みなみ野眼科クリニック

 

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JSCRS 学術総会に行って参りました

先日、東京国際フォーラムにて開催された第33 回JSCRS 学術総会に行って参りました。

JSCRS 学会とは日本白内障屈折矯正手術学会の事で、主に白内障手術・屈折矯正(近視矯正手術など)に関する分野の専門的な学会です。

開催は6/29(金)~7/1(日)でしたので診療の都合上、全日参加は出来ませんでしたが様々な臨床例や新しい報告を聞くことが出来ました。

中でも有意義だった発表は「白内障手術に用いる最近の多焦点眼内レンズの臨床使用での実例」や「白内障手術の難症例に対する対処法」でした。

また白内障術後の感染症対策の実例も大変参考になりました。

学会で得た知識を、当院の診療、特に白内障手術後間もない患者様のケアに役立てていきたいと思っております。

また器械展示もあり、眼科領域の医療機器の進歩にも目を見張るものがありました。

 

 

今後、当院でも取り入れて参りたいと改めて思いました。

 

みなみ野眼科クリニック  平成30年7月12日

 

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「みなみ野眼科の医療コラム」に「痛い雪目にご用心」を掲載しました。

俗に「雪目」と呼ばれる眼の疾患を御存じでしょうか?
正式には「紫外線性角膜炎」「雪眼炎」とも言われています。

詳しくはみなみ野眼科の医療コラムをご覧ください。

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※痛い雪目にご用心※

1月22日に八王子にも4年ぶりの大雪、積雪がありました。
明日以降も雪の予報です。今年は今後も降雪が多い事が予想されます。

俗に「雪目」と呼ばれる眼の疾患を御存じでしょうか?
正式には「紫外線性角膜炎」「雪眼炎」とも言われています。

冬も紫外線は強く、更に積雪があると紫外線が雪に反射し目に障害を起こしやすくなります。

晴れた日にスキーをした後や、雪掻きをした後に、数時間を経てから突然の「眩しさ」「眼の痛み」「充血」「流涙」等の症状で始まります。
翌朝起床時に突然の眼の痛みで発症する事もあります。
紫外線によって角膜(黒目)が火傷をおこした様になり点状表層角膜炎を引き起こします。酷ければ「角膜びらん」「角膜潰瘍」を起こす事もあります。

 

予防としては積雪のある晴れた日には・・・

(1)長時間、空を見上げない。

(2)サングラスやゴーグルを装着する

(3)つば付きの帽子の着用や日傘の使用・・・・等をお薦めします。

当院にも雪目の患者様がご来院されています。
やはり長時間の雪掻き後の眼の痛み、スキーに行った翌日からの眼の痛み、充血等の症状で来院されます。
雪目を疑った場合の応急処置としては「保冷材等で眼(瞼)を冷やす」「ドライアイ用の目薬の点眼」等が有効と思われます。
注意点としては眼に違和感が出た際には「絶対に眼を擦らない」事です!

 

目の痛みが取れない場合には速やかな眼科受診をお薦めします。
重症例では二次感染を起こし、角膜潰瘍になる場合もあります。

 

治療は抗生剤点眼、角膜表面保護剤、抗炎症剤等の点眼薬投与になります。痛みが激しい場合には抗生剤眼軟膏をたっぷりと眼の中に入れて、瞼の裏と角膜の摩擦を防ぐ方法も必要になります。経過が良ければ数日で回復します。

 

明日からまた雪の予報です。皆様も通勤・通学等、多々ご心配だと思います。
皆様、凍結による交通事故・転倒による怪我にはくれぐれもご注意ください。また晴天の日には眼を守る事もお忘れにならない様にお願い申し上げます。

 

 

追記:1月後半より花粉症の患者様もご来院されております。

毎年花粉症の方は予防的に早目の御受診をお勧めいたします。

 

平成30年2月1日 みなみ野眼科クリニック

 

 

 

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※暑い夏!脱水症状と眼疾患※

これから暑い夏を迎えます!

夏は脱水症状を起こしやすく脱水による熱中症には本当に要注意です。
中には生命の危険を伴う事もあります。

脱水症状になりますと血液粘稠度が増し(血液がサラサラでなくなる)
様々な血栓症をおこしやすくなります。

血栓が詰まる(脳血管であれば脳梗塞、心臓血管であれば狭心症・心筋梗塞)病気が起こる頻度が高くなります。

眼の血管に血栓が飛んで詰まれば眼の血栓症(網膜動静脈閉塞症、虚血性視神経症)等を引き起こし、詰まる場所によっては急激な視力低下や視野欠損が起こります。

今年は5月から夏日の様な暑い日が続いたせいか、血栓症の患者様が例年より多い感じがします。

 

高血圧症、糖尿病、高脂血症等の基礎疾患のある方は特に要注意です。

夏は血液粘稠度を正常に保つためにも水分補給に充分に留意して下さい。

糖尿病の方はカロリーの少ない水分補給を推奨いたします。

 

たまには交互に片眼を隠して、左右の眼の見え方の確認

・視力に変化は無いか?

・モノが歪んで見えないか

・見え難い部分が無いか(視野欠損)

上記を確認する事をお薦めいたします。

両眼で見ていると「片眼の視力低下に気が付いていない事」もあり、眼科の定期受診の際に初めて片眼が見えていない事に気が付かれる方も少なくありません。

その際には下記の自己チェックシート等もご活用ください。

 

 

平成29年7月1日 みなみ野眼科クリニック

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※みなみ野眼科クリニック最近の疾患の傾向※

5月は学校で行われる視力検査後の「視力低下」の結果用紙を持参されクリニックを受診される患者様が最も多い1カ月でした。

6月に入り学校検診の二次検診も一段落の傾向にあります。

 

近年、毎年の傾向ですが「近視の低年齢化」は否めません。

仮性近視(調節けいれん)の場合はある程度の視力回復は点眼治療により期待が出来ます。然しながら真性近視の場合は点眼による治療法は基本的にはありません。

 

近視の低年齢化の現因や、近視の進行予防に関しては当ホームページの子供の視力を守るには?目に優しい生活とは?http://www.minamino-eye.com/column/1169をご参考にして頂ければ幸いです。

 

学校検診で視力低下のお知らせを貰ってきても、矯正視力(近視・遠視・乱視のレンズを入れた視力)が1.2以上あれば基本的に「病的視力低下ではない」のですが、中には矯正視力が充分に得られない「眼の病気」の場合もあります。

未就学時や小学校低学年で発見される病的視力低下の多くは「弱視」です。

 

弱視の原因には屈折性弱視、斜視弱視、視覚遮断性弱視などがあります。

この様な場合には医学的に「治療用の眼鏡装用」「斜視手術」等が必要になります。他に病的視力低下の原因には低頻度ではありますが先天性白内障や、種々の眼底疾患も認められる事もあります。

 

近年、徐々に増える傾向にあるのは「心因性視神経症」です。

近視や遠視・乱視も無く、眼底やその他にも異常所見が無いにもかかわらず「視力が出ない」「見えない」という、種々のストレスが原因である疾患です。

軽症では矯正視力が0.7前後である場合もありますが、重症になると矯正視力が0.03しか得られない場合もあります。当然、脳内の病変も疑いますが、視野検査(ゴールドマン視野検査=動的量的視野)で確定診断がつく事が多い疾患です。「らせん状視野」「求心性視野狭窄」等の特異的な視野検査結果がみられます。

 

※ゴールドマン視野計による【らせん状視野】※

 

今年は特に心因性視神経症の患者様が多い様な印象があります。当院のHPをご覧になられ御来院される方が増えているのでしょうか。

小中学生だけではなく大学生や大人の心因性視神経症の患者様も少なくありません。年々、ストレスが増えているのでしょうか。

春は進級・進学・環境の変化(初めての一人暮らし、仕事の配置転換)等が多い季節です。過剰なストレスが原因と言われています。この疾患に関しての詳細は当ホームページ眼疾患と症状:第7回 視力低下:ストレス性(小児=思春期編)http://www.minamino-eye.com/column/421」に掲載していますのでご参照ください。

 

この数年若年者の緑内障の方も増加傾向にあります。

何気なく「メガネやコンタクトレンズを作りたい」という目的で受診される17歳~25歳位の若い方の緑内障患者様は決して少なくはありません。

数年前に、初診時には自覚症状も無く、既に上半分の視野が欠損していた進行性の緑内障であった20代前半の患者様もいましたが、発見時より点眼による加療で幸い視野の進行は認めておりません。

「緑内障は40歳以降の病気」と認識されている方々が多いと思いますが、「若年者にも緑内障の方はいる」という事を知って頂ければ幸いです。

また、その中の多くの方には「緑内障の家族歴が多い」傾向にあります。

ご自身が既に緑内障と診断されている方の、お子様・お孫さんが眼科を受診される場合には「自分の○○が緑内障なので、自分に緑内障の可能性が無いか診てもらう様に言われた」と一言、受診先でお伝え頂ければ早期発見に繋がるかもしれません。

皆様が「大したことの無い病気」と認識されている「結膜下出血」や「急性霰粒腫(モノモライ)」等、他の疾患で御来院となった患者で、偶然、緑内障が見つかったケースも少なくは無いと思います。

眼科医としては、投薬の関係もあり、急性感染症以外の方であれば、緑内障の有無だけは初診時に確認しています。

最近は、メディアの影響で眼の健診目的で御来院される方が増えている様です。

緑内障や糖尿病性網膜症等は、なんの自覚症状も無く進行してしまう病気です。現に進行性緑内障の患者様で、片眼の半分が見えていなくても自覚症状の無い方もおられます。

診療後に「緑内障の可能性が高いです」と患者様にお伝えしても「だって、俺、視野欠けてないよ」と言う方も少なくありません。視野が欠けるという自覚症状があれば相当進行した緑内障であるとお考え下さい。

また「自分は毎年、健診を受けていて眼圧が高いと言われた事は無い」と言われる方も緑内障である場合があります。

眼圧には血圧同様に変動があります。高血圧の方が内科を受診した際に、たまたま「血圧は正常です」と言われても高血圧症である場合がある事と同様です。

厄介な事に、最近の日本人の緑内障の多くは「正常眼圧緑内障」というタイプの緑内障で、眼圧検査だけでは診断できません。緑内障の疑いは眼底検査において「視神経の深い陥凹が認められる」事から始まります。

年に一回の眼圧検査より、年に一回の眼底検査(眼底写真)のある人間ドックが有効と思われます。

緑内障早期発見の為にも近隣眼科で「眼の病気が無いか診てくれ」と受診されるのは如何でしょうか。

正常眼圧緑内障のリスクの一つに「中等度~強度の近視」が挙げられています。上述しました近視化の低年齢化が将来「正常眼圧緑内障のリスク」にならない様に近視が進行しない様に注意しましょう。

強度の近視が原因と言われている疾患は正常眼圧緑内障の他に、網膜剥離・黄斑変性症等があります。

強度の近視は種々の病気の根源になりかねませんので、少しでも近視が進まない様に眼科専門医の意見を聞いてみる事をお薦めいたします。

 

 

平成29年6月22日 みなみ野眼科クリニック

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※過去10年間で最多!「プール熱警報」※

テレビやネットのニュースで、学校のプール授業も始まってもいない5月下旬より「プール熱警報」が報道・配信されています。

 

【ニュースの主な内容】

・首都圏でプール熱猛威!東京は過去10年最多 で 警報レベルの地域が続出!

・国立感染症研究所(NIID)が平成29年6月6日付けで公表した速報データによると、プール熱(咽頭結膜熱)の患者が増加傾向にあることがわかった。5月22日から5月28日にかけて、過去10年間の同時期と比べ患者数がもっとも多く報告されている。

 

 

プール熱の正式名称は「咽頭結膜熱」といい、原因はアデノウイルスといいます。

1)主症状:「38度以上の発熱、喉の痛み、充血・メヤニ」です。

困った事に、この疾患は、これら3つの症状が全て揃うまでには時間がかかり、中には全てが揃わない患者様もおります。

「単なる夏風邪かな?」で済ませてしまうと、家族内や学校内でも感染が拡大してしまいます。この時期に上記症状の2つでもあれば、プール熱を疑うべきかと思います。

とは申しましても、インフルエンザ同様に最近のプール熱には季節性が無くなってきています。

もっとも厄介な事はインフルエンザとは違い、「プール熱」をはじめとするアデノウイルス感染症には特効薬や予防ワクチンが無く、且つ又、潜伏期も長い事です。

結構・・・というか、かなりキツイ症状の場合もあります!

また「小さい子供の病気だろう」との認識が強いようですが、大人にも感染します。

免疫力の低下している小児や高齢者が感染しますと、重症化して肺炎等を併発し、入院を余儀なくされる場合もあります。従いまして、何よりも感染予防が必要です。

 

2)感染経路:ネットニュースにも記載がありましたが、感染経路は様々です。主に接触感染や飛沫感染です。感染者の方が触れたタオルやドアノブ、吊革、エレベーターのボタンなどを介して感染します。

3)予防法

・手洗いの励行・目を擦らない・長い前髪を不用意に触らない

・感染した方とはタオルを変える。

・家庭内では回復期の感染者の方であっても、最後に入浴する

・登園、登校の許可が出ても発症から2~3週間はプールに入らない

※症状が消失してもウイルスは直腸から2~3週間は排泄されると言われています!

 

最近は電車の吊革を触った手でスマートフォン(以下:スマホ)を操作している方々が数多くいると思われます。帰宅後に充分に手洗いをしても、スマホにはウイルスが付いている可能性があります。

帰宅後にスマホの見過ぎで眼が疲れたからと言って、目を押したり擦ったりしても感染の可能性はあります。また長い前髪をかき上げる行為で髪の毛から目にウイルスが侵入し感染するとも言われています。洗えるスマホも発売されているようですが、スマホも清潔にする事等も心掛けては如何でしょうか。壊さない程度に・・・。。。

 

公共施設や病院内では飛沫感染は中々防げるものではありません。

皆様が「プール熱かな?」と疑われた際は、感染拡大予防の為にも、かかりつけの小児科、眼科などに電話にて連絡してから受診する事が大事と考えます。

みんなが、今年も暑いであろう夏に楽しく安全にプール遊びが出来る様に感染予防に留意しましょう。

 

 

2017年6月17日

                          みなみ野眼科クリニック

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