めまいと内耳神経障害

めまいを主訴に来院される患者様がおられますが、その原因の大半は眼科領域の病気ではなく耳鼻科的疾患、脳外科領域の疾患である事が殆どです。

今回は、ほんの些細な事から起こってしまう耳鼻科領域の神経障害に関して自身の経験を基にお話したいと思います。

私も50歳を超えた今まで、虫垂炎・腰椎ヘルニア・副鼻腔炎・胆嚢ポリープ・尿管結石など、いろいろな病気をしてきましたが、その中でも「内耳神経障害」・・・これには、かなり精神的に落ち込みました。
下記掲載写真の下に私の内耳障害(音響外傷)の体験談を記載しますので、特にライブのお好きな方・大きな音に暴露される機会の多いお仕事の方は、ご自身の耳の健康にお役立てて頂ければ幸いです。
体験談の後には「ある有名人」との記念写真も掲載させて頂きます。

 

先日、久しぶりに大好きなライブに行ってきました。場所は渋谷のライブハウスで、中学生のころから大好きなロックバンド「クイーン」のコピーバンドである「グイーン」のライブです(笑)本家のフレディーマーキュリー氏は残念ながら亡くなられ、本物はついに観ることができませんでした。しかし、このバンド・・・ボーカルは顔も声もフレディー氏にそっくり!メンバーは全員プロで、誠見事に本家クイーンの演奏を再現してくれます。いや~、楽しかったです。

 

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しかし、実は自分にとってこのライブ参戦は約20年前のリベンジとなります。その年の2月にもグイーンのライブに行きました。その際、途中から右耳の耳鳴りが始まりましたが「気のせいか?」とライブを聞き続けました。その後、めまいまで感じるようになり耐えかねず外に出る事にしました。外に出た途端にライブの大音響に隠されて聞こえなかった「ゴ~~」という、まるで近くで竜巻でも起こったような大きな耳鳴りが・・・。それだけでなく周囲の人の声が宇宙人の声?の様に聞こえてきました。まるで壊れたラジオの雑音(ザ~、ピー↑音)を聴いているような感じがしました。とにかく「家に電話を」と公衆電話で受話器を右耳にあてましたが、呼び出し音も、何もかも聞こえませんでした。「これは大変なことになっている!」と思い、自宅近隣の救急病院耳鼻科を受診。診断は「音響外傷」でした。大きな音を聞き続ける事によって内耳と呼ばれる神経が障害され「聴力障害、耳鳴り、めまい」が起こります。私の右耳は殆ど聞こえておらず、深夜にもかかわらず即入院となりました。治療はステロイドの大量点滴療法が主体でした。耳鼻科の担当医は私が医師である事を知っていた為か、翌朝、この病気に関しての文献を持参の上で病気の説明がありました。内容は「予後不良が多い」「30歳を境に急激に治療効果が悪くなる」との記載・・・。当時自分は既に30歳過ぎ・・・(涙) 「頑張って絶対に治すぞっ!」と心に決めて入院した翌朝に、夢も希望も打ち砕くような内容ばかりの文献で、まさに地獄に叩き落された気持ちになりました。片耳が聞こえないだけならまだしも、とにかく耳鳴りが煩くて眠れず何も手につかないほど、イライラの毎日。。。それでも治療を受け続け、少しずつ聞こえるようになってきましたが、耳鳴りは相変わらずでした。担当の耳鼻科医は「耳鳴りはそのうちに慣れますよ」の一言。「そんなこと言うなら自分がこの耳鳴りを一か月も経験してみろよ!」と心の中で八つ当たりしていました。この時ほど「医者の一言って大事なんだなぁ~」「患者様には治療意欲の湧く説明が必要」・・・と再認識しました。 入院治療は2週間で終了し、外来通院となりましたが、耳鳴りは相変わらずで、聴力も不完全。治療効果に納得がいかず、とにかく「今できる治療を」と自分で調べて「ステロイドの鼓膜内注射」を施行してくれるS大学病院、その後は当時、遠方であった出身大学で「高圧酸素療法」を受けました。発症から約3か月で、運良くなんとか納得できるだけの回復を得ました。その間に同じ系統の耳鳴り・難聴に悩む多くの患者さんと出会いましたが、若い方から年配の方まで自分と同じ経験をし、同様の心境を話し合っていました。どんなに心の支えになったことか・・・まさに戦友という感じでした。中には両耳が全く聞こえなくなっていた若い女性もいましたが気丈に治療に専念していました。 大きな音を聞いただけで「ここまで障害が出るものなのか!」と当時は本当に後悔しました。その経験を基に、大きな音がする場所に行く際には、家族や知り合いには耳栓をすることを勧めています。昔あった運動会の「よ~い、ドン」のピストル音で音響外傷になった方も少なくないようです。ヘッドホンスピーカーを大音量で長く聞いている方にも多いようです。小児でも音響外傷になる事が多いらしく、症状を訴えられない子供さんを大きな音をする場所(コンサート、音楽発表会、花火大会等のイベント)に連れていかれる際には耳栓をする事は大事だと思います。 治療予後は音の大きさ、爆音を聞いていた時間の長さ(暴露時間)、年齢等によって大きく左右されるようです。自分は運良く治ったものの、大きな音には今でも敏感になっています。 といいながらも、その後も大好きなアーティストのライブには、定期的に行っています(^^;) いろいろな出会いもありますし、最近では唯一の趣味ですので!

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LIVE会場で出会った空耳ストの安斎肇氏と

「懲りない性格だなぁ~」とは良く言われますが、耳栓は必携しています。皆さんも他人事と思われずにご注意ください。

※「クイーン」のファンの方に「グイーン」のオフィシャルサイトではLIVEが観れますので一度、是非ご覧ください(笑)ファンの方は必見だと思います!次回のLIVEは5月の予定だそうです。

帰りには従妹が経営する西荻窪(私の生誕地)の「ワインと蕎麦の吉」に初めて顔を出してきました。開業1周年を迎え、評判も良いようです。ワインと蕎麦の組み合わせは意外でしたが、両方とも、なかなかの味でした。西荻窪駅から歩いて数分の店です。「みなみ野眼科クリニックのHPを観てきました」と言って頂けても割引は・・・保証はできませんが、たぶん「ある」でしょう(^^;)

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久しぶりの更新になってしまいましたが、皆様の健康の一助になるべく鋭意、医療情報を提供できればと考えております。  院長

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花粉情報と治療の注意点(緑内障に悪影響?)

今年も花粉の飛散時期が迫って参りました。今年の飛散開始は例年より早く2月の初〜中旬、飛散量は前年の1.5倍との日本気象協会の予測です。大変判り易く花粉情報(症状・飛散予報)を提供している「花粉なう」のサイトを掲載致しますので興味のある方は下記バナーをクリックされた上、是非ご覧下さい。当院も「花粉症の相談ができる医院」として掲載して頂いております。

花粉症ではアレルギー性結膜炎をおこします。主症状は眼のかゆみ・充血・涙・まぶたの腫れ等で、ほぼ両眼同時に始まります。くしゃみ・鼻水・鼻づまり等の症状が有名ですが、鼻づまりが原因で目の周りの不快感、目が重い等、いわゆる「眼精疲労」の症状が出る事も少なくありません。毎年花粉症になる方や「花粉症のような症状のある方」は御受診の上、早目の治療開始(花粉ブロック)が大切だと思います。眼の症状(充血)が酷くなりますと、他の結膜炎との区別も難しくなります。眼症状も鼻症状も軽症のうちに治療を検討してください。また、激しい症状がみられる患者さんには、初期療法が有効です。初期療法とは、花粉飛散開始前に、または症状が少しでもあらわれた時点で薬物療法を開始する治療法で、症状の重症化を抑えられます。

ところで花粉症の内服薬には「緑内障」の方が服用してはならないクスリがある事をご存知でしたか?皆様が服用されている花粉症薬の添付文書をよく見直してみてください。アレルギー(花粉)用薬の成分には緑内障の方に投与してはならない成分、または緑内障を引き起こしてしまう成分などが含まれている事が多いので注意が必要です。成分名の一部を下記に記載致しますので参考にされてください。

みなみ野眼科クリニックでは花粉症(アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎)に対する点眼薬は勿論、内服処方にも対応しております。緑内障患者様はもちろん、花粉症薬処方の際は緑内障の有無も調べさせて頂いた上でクスリの処方を行っております。花粉症の治療目的で受診され緑内障が早期発見された患者様も少なくはありません。

また病気以外でも「眠くなりにくいクスリ」等、患者様のニーズに合った内服処方にも対応させて頂きますので受診時にご相談下さい。

※緑内障禁忌薬、慎重投与薬(内服薬、外用薬成分名)※
クロルフェニラミン、シプロヘプタジン、メキタジン、ジフェンヒドラミン、プロメタジン、イプラトロピウム、チオトロピウム、オキシメタゾリン、副腎皮質ホルモン等・・・他多数

マスクをする女性 高齢者 花粉症

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★インフルエンザと共に冬もプール熱が急増!★

今年も最近になり、地域内でインフルエンザに似た症状のプール熱(咽頭結膜熱)の患者様が急増しています。どちらも感染力が強く、院内感染の確率の高い疾患です。【症状は下記記載または医療コラムのプール熱警報をご参照ください】

当眼科には「緑内障」「網膜剥離」「糖尿病性網膜症」「黄斑変性症」等、失明の危険性のある方も数多く通院されておられます。定期的に通院されておられます患者様に感染致しますと、視力予後に大きな影響を与える場合もございます。

感染症が疑われる方の当院受診の際には是非とも電話にてご予約を取られた上での御受診を引き続きお願い申し上げます。電話予約を頂いた方の診察は午前・午後の一般診療終了後に時間を決めて診察させて頂いております。この件の啓蒙を地域の皆様に是非ともご協力の程、スタッフ一同心よりお願い致したいと思います。

プール熱(正式名称は咽頭結膜熱)」とも呼ばれ、アデノウイルスの感染による疾患です。本来は夏風邪の一種とされる感染症ですが、「感染症2014 プール熱が夏場以上に冬も大流行!」 「今季は11月以降に再び患者が増え、例年にない”冬場の流行”となっている」という内容でネットニュースでも流れているほどです。地域の感染症週報には不思議にも未だ反映はされてはおりませんが、地域内で相当数の患者様がいらっしゃる事は事実です。また子供だけでなく、大人の方も発症しています。(冬・咽頭結膜熱で検索して是非一度、ご覧ください)

症状は結膜炎症状(片目の充血・メヤニ)から始まったり、38度以上の発熱や、のどの痛みから始まったりと、感染した方によって症状の出方の順番に違いがあります。

通常、この時期は「38度以上の発熱、喉の痛み」という症状がでると、まず一番にインフルエンザを考えて内科や小児科を受診される方が多いと思います。インフルエンザ診断の迅速診断(インフルエンザウイルス検出キット)で陰性な場合は、冬であってもプール熱も考えなければなりません。発熱の数日後に片目の充血、メヤニがみられるようであれば、まずプール熱を疑う必要があると思います。

前にもコラムで記載しましたがインフルエンザには予防ワクチンもあり、特効薬(抗インフルエンザ薬)がありますが、咽頭結膜熱にはワクチンも無ければ特効薬もなく、感染力もかなり強力な疾患です。また便中からは2~3週もの間、感染力のあるウイルスが排出されると言われています。愚見ですが、病態を例えていいますと「インフルエンザはサッパリ型」、「咽頭結膜熱は粘着型」といえると思います。

インフルエンザも、プール熱も院内感染の多い疾患です。上記の症状がありました場合にはご都合もおありとは思いますが、各医療機関御受診の場合には電話にてご一報の上、御受診の程お願い申し上げます。

みなみ野眼科クリニック

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こんな時どうする?:我孫子市養護教諭部会発行「眼の打撲編」

当ホームページの前回記事でお知らせ致しましたが、原稿依頼を頂きました我孫子市養護教諭部会発行「平成26年NO5. 眼の打撲編」の中で私が担当させて頂きました内容が完成し、採用が決定いたしましたので掲載させて頂きます。

眼は柔らかい組織ですので、一見、何事もなかったような外傷でも重病が隠れている事も少なくありません。

この内容が学校関係者の方々をはじめ、皆様の眼外傷に対する危険性の認識の一助になれば幸いです。

また、この度、この様な機会を与えて頂いた我孫子市養護教諭部会の関係者の皆様に感謝申し上げます。

題名は「こんな時、どうする?」です。

 

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運動会シーズン到来と都学校保健委員会

早いもので今年も既に10月を迎えようとしています。
今年は特に寒暖差が激しいせいか風邪気味の方が多いようです。
また小中学校でも運動会シーズンとなり、お子様方も練習で大変のようですね。
体調不良になるお子様方も少なくないようですので、熱中症対策や風邪の予防の為にも
しっかりとした水分補給、うがいや手洗いを励行致しましょう。
さて、運動会シーズンといえば増えるのが眼の外傷です。眼はやわらかい組織でできていますので、見た目は大したことのない外傷でもおおごとになる事もあります。

※詳細は当院ホームページの「眼疾患と症状」に記載しております。

この度は我孫子市教育委員会より「眼の外傷の注意点」についての原稿要請があり、協力させて頂きました。我孫子市の多くの学校の先生方も「眼の外傷は、どの程度で病院に連れていくべきか」の判断が難しいとの事で、この度の原稿依頼となったようです。少しでも子供達の眼の健康の一助になればと考え協力させて頂きました。

私事ですが10月1日(水曜日)は東京都眼科医会主催の学校保健委員会に南多摩眼科医会の代表として診察終了後に出席致します。つきましては10月1日の受付時間に変更はございませんが、時間に余裕を持たれての御受診の程お願い申し上げます。

平成26年9月28日

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院長監修の記事がイオンカードの会員誌MOMに掲載されました

院長監修の記事がイオンカードの会員誌MOM 8月号(8月1日刊行:34~35ページ)に掲載されました。 当院のホームページの閲覧された同誌のご担当者の方から原稿依頼があり、この度の掲載に至りました。ホームページに掲載する記事の内容の重要性を改めて実感いたしました。 この記事が疾患の啓蒙に繋がり、皆様の目の健康の一助になります事を願っております。 この度は同誌掲載の機会をくださいました御関係者の方々に心から感謝申し上げます。

※記事をクリックすると大きくなります。

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夏季休診のお知らせ

8月11日(月)の午前診療(12時受付終了)をもちまして夏季休診とさせて頂きます。
8月19日(火)より通常通り診療を再開させて頂きますのでご了承ください。
夏季休診前後は混雑が予想されますので余裕を持たれての再診の程お願い申し上げます。

※7月後半から8月末までは特に午前診療時間帯と夕方6時以降に患者様が集中する傾向にある様です。
気候の変動が激しい中、御自愛くださいませ。

みなみ野眼科クリニック

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再びプール熱警報(この時期に?)!!

この時期になり、再びプール熱(咽頭結膜熱)の患者様が「みなみ野エリア」で増加傾向にあります。

今年のインフルエンザの流行は未だですが、地域では「感染性胃腸炎」「プール熱」の方が多い傾向にあります。対象疾患ごとの発生状況も、この数週、警報レベルを超えております(下記URL参照)

※対象疾患ごとの発生状況※

http://www.city.hachioji.tokyo.jp/hoken_iryo/hachi_hokenjyo/9757/032318.html

「この時期にまさか」と思われる方も多いと思いますが、プール熱は決して夏限定の病気ではありません。

新型インフルエンザが日本で流行した年は、国内で「うがい・手洗い」を徹底した為に、プール熱もかなり減少致しました。この疾患は重症化すると肺炎などを併発し入院になる事もあり、ある意味、インフルエンザより性質が悪くしつこい病気です。大人の家庭内発症も多くみられるのが今年の傾向です。

インフルエンザとは違って予防ワクチンも無く、特効薬もありません。予防は手洗いとうがいです。

流行を防ぐ為には感染者の方のご協力が不可欠です。感染された方は、症状が治ってからも2日間は可能な限り外出を控えて頂ければ幸いです。感染経路は接触感染(メヤニ)・飛沫感染(咳やクシャミ)です。

公共の乗り物(バス・電車)をご利用の際はお出かけ前に、充分な手洗いの上、マスクの装着をお願い申し上げます。

プール熱に関する更なる詳細は当HPの★プール熱警報!!★をご覧ください。

コチラをクリック:http://www.minamino-eye.com/column/598

 

ご自身やご家族が「プール熱かな?」と思いました際には、院内感染防止の為、かかりつけ医に電話にて御一報の上での御受診をお願い申し上げます。

2013年12月6日

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最新型OCTバージョンアップ!(その2)

今回のOCTバージョンアップ機能は前回、説明させて頂きました「撮影幅の増加」の他にも、多々ありますが、患者様にとりまして最も有意な点は「経過観察機能の強化」となると思います。
今回のバージョンアップにより、従来は出来なかった長期経過観察結果の比較が可能になり、なんと、最大50回の撮影結果の比較が可能になりました!

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  【図0:新経過観察機能イメージ像(黄斑マップ)】

更に従来からの経過観察機能も一新され、初めての(1回目)の撮影画像(=ベース画像)と2回目以降の撮影画像との比較 / 差分が明確に表示できるようになりましたので、今まで以上に患者様にも治療後の経過を判り易く提示の上、説明できるようになりました。勿論、50回全て掲載可能な訳ではありません。最大を50回とし、その中から主治医として適切と思われます時期の解析結果や、患者様がご希望された検査時期をチョイスした結果の推移が1枚の用紙に印刷可能です。

下記に新しい経過観察機能の例を掲載いたします。緑内障(※1)と網膜疾患(※2)の2例となります。従来の解析結果(図)に加え、新しく設定された下段の折れ線グラフにより各疾患において判定に必要な網膜の層別厚みの推移を提示する事も可能となりました!

(※1)緑内障とは眼圧が高い事等によって網膜を構成する10層構造の中の「神経線維層付近」が選択的に薄くなっていく疾患です。薄くなった上、ダメージが強くなれば視野が欠けます。
緑内障では「網膜の神経線維層付近が薄くなる=悪化している」という事になります
【網膜は全層を合わせても厚さ0.2~0.3mmにすぎない薄い膜です。OCTは、その網膜の10層構造の一部の厚みさえも選択的に計測できる精密機械なのです!】
治療によって「神経線維層付近の厚みがどう変化しているか」、また「眼圧は落ち着いているが、今の治療で本当に充分な治療となっているか」等も視野欠損が進行する前に充分な検討が出来ます!
NIDEK社様にご提供頂きました緑内障の新しい経過観察結果の表示例を示します。

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【図1:緑内障例の網膜神経線維層付近の厚みの推移(NIDEK社提供)】

図1解説:向かって左上が一回目の解析結果。右方向に向かい1年9ヶ月後、2年2か月後・・・と継続的に撮影された解析結果となります。下側に放射線状に青く示された部位が、前回測定結果と比較し、神経線維層付近の厚みが薄くなり悪化している部分になります。

同図の下に提示されている折れ線グラフで「ピンク色の線」は上方の神経線維層付近の厚みの経過(変化なし)、「青い線」は下方の神経線維層付近厚みの経過を示しています。

下方の神経線維層付近の厚みが薄くなっていく傾向にある事がグラフでも示されています。

(※2)網膜疾患には網膜の中心部である黄斑部(おうはんぶ)が変形したり、むくむ(浮腫)事によって黄斑部の厚みが増す病気があります。症状は「視力低下」「歪んで見える」「左右で明るさが違って見える」「左右の眼でモノを見比べると、大きさが違って見える」等の症状です。
糖尿病性網膜症(黄斑症)・黄斑変性症・中心性網膜炎 等による黄斑浮腫や黄斑出血、他に黄斑前膜症等が代表的な病気です。
これらの疾患においては「網膜全層が厚くなる=悪化している」という事になります。
この場合は網膜全体(網膜10層)の厚みを測定した結果の経過を観て治療効果を比較します。
1例の方の経過表を下記に表示いたします。治療によって病的に厚くなってしまった網膜全層部分(乳白色で示された部分)が薄くなっていく傾向にあります。病気が改善し、病的に増してしまった網膜の厚みが減少し、その範囲も縮小していく経過が明らかです。

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【図2:黄斑前膜術後の撮影結果の経過表(当院患者様にご了承を得た上の掲載です)】

図2解説:当院の黄斑前膜の患者様の治療後の経過です。向かって左上が一回目の解析結果。緑色の部位が正常網膜の厚みで、乳白色の部分が病的に厚くなってしまった病変部を表します。1回目は術後、当院再診時の解析結果です。右に向かって、その2か月後、8か月後の解析結果です。乳白色で示された病的部分の範囲が狭くなっており、また下の折れ線グラフでは、病変部の厚みが黄斑部の上下共に薄くなって(=正常化して下降傾向になって)いく経過が一目瞭然です。

今回掲載させて頂きました他にも、種々の撮影方法での長期経過観察も可能となっています。
患者様の疾患・病態・障害部位に合わせて、どの様な解析結果で経過を追う事がベストであるかを見極めるのも医療従事者としての役目と思っております。

また、今回のバージョンアップは、医療従事者側にとりましても有意な機能向上となりました。
1) 画像の強調化(エンハンスイメージ機能の追加)等の撮影機能の強化
従来のバージョンで撮影した画像(既存の画像)にも対応する、更に綺麗な結果の得られる画像処理システム
2)機器の使いやすさの向上
3)データ管理の簡素化
4) 万一の事態に備えたデータのバックアップに対する自動リトライ機能追加

等になります。これ以上は、かなりマニアックになりますので敢えて詳記は避けますが、この素晴らしい機器を、より多くの患者様の治療に活かせるよう、常に最新情報を取り入れ、医師をはじめスタッフ一同準備しております。詳細は受診時にお気軽に医師・スタッフにお尋ねください。

今年も残りわずかですが、今後は秋田で開催の日本神経眼科学会に参加予定、また11月末には恩師のご自宅にて神経眼科の勉強会も開催されます。
これからが厳しい寒さ本番の季節となりますが、皆様のご健康を心より祈っております。ご自愛くださいませ。

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最近の話題:チャーリー太田選手検診・就学時検診・学会、etc.

先日、八王子中屋ジム所属の東洋太平洋スーパーウェルター級王者、チャーリー太田選手がニューヨークで開催される国際戦前の検診に来院されました。視力、眼圧、眼底、眼球運動などなど、全てに眼科的な問題はなく試合可能の診断書(英語・・・汗)を記載いたしました! 流石にプロ!検診結果が出るまでの顔つきと、検診結果に問題が無い事を告げた後のチャーリー選手の顔つきがまるで違いました。「問題なし」と告げた後の嬉しそうな表情を観て下さい。

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写真左:検診後のチャーリー選手/写真右:試合前のチャーリー選手

しかし、八王子中屋ジムは先日世界戦を戦った荒川仁人選手をはじめ、有望な選手が多いですね! 検診する側も緊張度が増します。チャーリー選手の勝利をみなみ野眼科一同祈っております。 試合詳細はコチラ:http://8box.blog.shinobi.jp/Entry/1897/

私事になりますが、本日から横浜で開催されます日本臨床眼科学会に朝1番より参加してきました。
午後からは市内の小学校の就学時検診があり、初日は全日の参加は出来ませんでしたが、今後も患者様にご迷惑をお掛けしない様に外来に支障を来たす事無く、時間の合間を縫って鋭意参加する予定です。まだまだ勉強です!
自分自身にとりましては、本日をもって今年度の就学時検診は全て終了となりました。 今日の来年新1年生のお子さん達は大変上手に検診を受けてくれました! 保護者の方もご協力ありがとうございました。

またOCTのバージョンアップ情報(その2)の記事も鋭意制作中です。今週末まで学会がありますので、お待ちになられている方は今しばらくお時間を頂ければ幸いです。
OCTの経過観察機能が更に充実し、長期のOCT解析結果の経過が簡単に、しかも詳細に比較可能となりました!その中の一例だけを下記に表示させて頂きます。

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10月も終わり、今年もあと2ヶ月となりました。風邪が流行っているようですので気を付けましょう。インフルエンザも風邪も予防のためには「うがい」より何より「手洗い」が大事ですよ! 風邪は万病のもとです。寒暖差厳しい折、健康管理には気を配りましょう!

2013年10月31日

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